雪が降り続く杉の木立の中、真っ白に染まった雪の急斜面を悠然と横切って行く大きな猿。
それに続いてやや小さな猿や、母猿の後ろをじゃれ合うように追いかけていく小猿達。腰に小さな小猿を乗せてゆっくり歩く若い母猿。
そして彼らから少し離れて続く若猿。
皆が同じ踏み跡をなぞるように歩いて行く。20頭ぐらいはいただろうか。
こんな野生の姿を直に体験したい。
そんな思いで北の大地の獣医大学を目指した自分をふと、思い出す。
そう。
かの地でも、多くの姿を見ることができた。
そして自分の生まれ故郷で暮らす今。
先の地に負けない多くの勇姿を、折に触れ目の当たりにしている。
「なあ、ここにもこんなにあんだぜ。」
北の大地を目指した18、9の頃の自分に、そう教えてやりたくなった。